2017年03月21日

SF本読了 アロウズ・オブ・タイム

「アロウズ・オブ・タイム」(G.イーガン)を読了。Kindle版。

<直交>宇宙3部作の完結編。

回転物理学やそこから派生する時間逆転惑星やタイムパラドクスの問題は前2巻にも増して難解でほとんど飛ばし読み。それでもまあメインのストーリーがグイグイ引っ張ってくれるので最後まで楽しく読めた。

ただイーガンらしさとも言えるんだけど、やたら一文が長いのと、「もし小麦が無重力では成長できないのではないとしたら」みたいな多重否定がガンガン出てくるのはお約束。

ラストも良かったんだけど,やっぱり前2巻で感じた違和感というか,コレジャナイ感がどうしても最後まで残ってしまった。

この3部作ってハードではあるけれど,やっぱりファンタジーだよね,ということ。異なる物理法則の世界でどんなことが起きるか,という点をトコトンまで突き詰めたという「異世界ハードSF」というサブジャンルを確立したのかもしれないけれど,その世界は結局空想に過ぎないわけで,我々の「この宇宙」とはまるで関係がない。

イーガンのこれまでの作品が難解でも好きだったのは,そこに描かれている宇宙が(SF的ウソはあるにせよ)我々の宇宙であって,順列都市もディアスポラの上位宇宙も,起点はこの宇宙であり地球だった。だからこそ「そんなところまで到達した」という畏怖や感動があったわけで,直交宇宙で12世代にわたる感動的なストーリーがいくら展開されても,それは自分としてはあくまでもファンタジーを読んだ時に覚える感動であってSFのそれとは違うなぁ,と思った次第。自分たちの「この宇宙」で,大ウソでも良いから,逆ウラシマ効果を実現する「理論」をひねり出して地球の危機を救う,みたいなお話の方がまだ共感できたかも。実際同じネタが出てくる短編の「百光年ダイアリー」は面白かったし。

次回作も異なる物理法則の宇宙が舞台らしいんだけど,大丈夫かなぁ。思考実験が楽しいのはわかるんだけど,できたら「この宇宙」と関係を持たせてくれると良いなと思っている。


posted by ソウヘイ at 20:19| Comment(0) | 読書
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