2018年01月22日

SF本読了 シルトの梯子

「シルトの梯子」(G.イーガン)を読了。Kindle版。

待ちに待ったイーガンの新作長編。執筆時期的には白熱光直交宇宙三部作よりも前になるとのこと。

直交宇宙三部作は既知宇宙と全く関係のない、物理法則の異なる異世界だけが舞台で、自分としてはコレジャナイ感が強かったけれど、シルトの梯子は素晴らしかった。やっぱりね、いくらぶっとんだSFでも起点はこの宇宙であり人類じゃないと。と改めて思った。

あらかじめ「ひとりっ子」(短編集の表題作)を読んでおくと良いというアドバイスがあったので、ざっと再読しておいた。おかげで、出てくるSF設定はだいたいすんなり頭に入ってきたかな。




独立した物語ではあるけれど、イーガン独特のSF設定がてんこ盛り(人格のアップロードによる不死化、それを利用した光速の宇宙旅行、外自己、観境、汎性化などなど)で、いちいち詳しい説明もされないので、個々の技術についてはそれぞれに深く突っ込んで考えさせられる、順列都市ディアスポラ白熱光あたりを読んでおく方が良いかも。あとひとりっ子。

ただし、登場する物理学は難解すぎてこれはスルーしかない。いろもの物理学者さんの解説にも、

本文を読んで「わから〜〜ん」となったら以下を読んで、「なるほどわからん」と納得した上で本文に戻っていただければと思う。

グレッグ イーガン. シルトの梯子 (ハヤカワ文庫SF) (Kindle の位置No.6143-6144). 早川書房. Kindle 版.


と書いてあるくらい。

シルトの梯子は、順列都市、ディアスポラと並んで定期的再読リストに入れても良さそうな内容で大満足なんだけど、今後がちょっと心配。

冒頭に書いたように、執筆時期が新しくなるにつれて、イーガンの興味が既知宇宙から、もっと自由(既知宇宙の法則に縛られないという意味で)な異世界を舞台にした思考実験的ストーリーに移っていっているような気がするのだ。

例えばだけどシルトの梯子で、人間が登場しない「あちら側だけ」の物語とか、ディアスポラの「5次元宇宙だけ」とか、順列都市の「オートヴァース内だけ」で完結する物語が読みたいですか?ということなんだよなぁ。男女がなくなったり身体が無くなったりしても一向に構わないけれど、「人類とつながりがある視点」がないと、自分としては評価を上げづらい。

ツイッターなどを見ると、直交三部作も評判が良いらしいので、多くの人は思考実験だけで満足なのかもしれないけれど。

posted by ソウヘイ at 15:37| Comment(0) | 読書
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